瞬きと共振

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なぜ古典Zineをつくるのか

Zineを読んでくれた友人・知人から「昔から古典やってたんですか」「古典って訳せるんですね」「翻案って結局何なの」「なんで作ったんですか」など、さまざまコメントいただいたのでその辺について少し書きます。

 

昔から古典やってたんですか

大学時代に古典を学んでいました。江戸前期の書肆学(今でいう出版活動についての学問)が一番好きでしたが、演習でZineの原案にもなった浮世草子(小説)も読んでいました。「やっていた」の度合いはともかく、高校国語で古典とさよならした方たちよりは、触っていた時間は長いかもしれません。ちなみに、書肆学が好きだったのは、民間での出版活動が活発になり「文学の商品化」が始まったのが江戸前期なのですが、黎明期ならではの「何やってもいいんだよ!売れるなら!」みたいなカオスっぷりに人間の俗っぽさが詰まってておもしろかったからです。あと、文学に値段をつけるってよくよく考えるとクレイジーだなと講義受けながら思ったことを時々思い出す。

古典って訳せるんですね&翻案って結局何なの

そもそも、高校までに習った古典は、やたら文法を覚えさせられたり、枕草子徒然草平家物語の冒頭部分だけを覚えさせられたりした記憶しかなく、江戸時代の古典って何?となる方がほとんどだと思うんですよね。

江戸時代の文学はそれほど難しくないです。分からないところだけ辞書(日本国語大辞典がおすすめです)を引いたり、訳注をたどっていけば話は把握できます。

ただ、そのまま訳してもおもしろいかはまた別問題で、自分に引き付けて読める部分がないと「ふ〜ん、それで」で終わってしまうのはどのジャンルにおいても同じかと思います。だから、今回のZineでは「翻案」にしました。

翻案とは、日本国語大辞典によると「① 前人が作っておいた趣意を言いかえ作りかえること。また、事実を作りかえて言うこと。② 自国の古典や外国の小説、戯曲などの大体の筋・内容を借り人情、風俗、地名、人名などに私意を加えて改作すること。」

Zineにするにあたって、原案に書いてない人の感情もバンバン加筆してるし、地名はボカしたし、人名も変えました。そこまでやって、350年前を生きた登場人物も「見合い結婚クソだな」ってキレてたり、「権力あったら何してもええんか!?」と憤ったり、「なんで好きな人と一緒におれんのや〜」と無力を嘆いたり、私たちと同じようなことを思っていたことが伝わると考えたからです。(いま例に挙げたこと全部Zineに出てくる)

古典を下敷きにした文学作品について。国語の教科書に載っている、で有名な芥川龍之介の『羅生門』は『今昔物語集』を基にしています。また、今回のZineの原案の一つでもある『西鶴諸国ばなし』を含む井原西鶴の短編にアレンジを加えたのが太宰治の『新釈諸国噺』です。序文で太宰は西鶴のことを「世界で一ばん偉い作家である。」と書いています。

なんで作ったんですか

Zineのあとがきに「(このZineをつくることは)私にとってやるべきことだったのだと思う」と書きました。基本的に答えはこれしかないのですがもう少しだけ丁寧に言うと、「未だに『古典はもうやらなくていいかな』とは思ってない。おもしろいことはいろんな人に覚えててほしい」からです。それだけです。

 

結局どんなZineなの?については、試し読みを公開しているのでそちらをぜひ。

matatakitokyoshin.hatenablog.com

購入について

▼10Zine佐賀 2022年 5/7(土)〜 5/15(日)
@PERHAPS(佐賀県佐賀市水ヶ江1-2-16)
詳細→http://10zine.org/archives/4496
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